住宅ローンや不動産投資ローンを利用していると、繰上返済をするべきかどうかについて考える時が来ます。
繰上返済については色々な意見がありますが、手元に残るお金を基準としたときの考え方の一案をまとめます。
簿記の知識を持って考えると整理しやすくなるでしょう。
手元に残るお金=収入+借入ー費用
手元に残るお金は、章タイトルのように
手元に残るお金 = 収入 + 借入 ー 費用
- 収入:利回りで得たお金+給料など
- 借入: 借り入れたお金
- 費用: 借入利子
になります。つまり借入は手元資金を増やしていますが費用も発生しています。
せっかく銀行に信用していただいて借り入れができたのですから、増えた手元の現金は最大限活用したいですね。
ここで、手元の現金には、将来使う予定のもの(生活費含む)や、突発的な支出に備えて余裕を持って手元に残し、それでも余った使う予定がないお金の活用を対象として考えます。
繰上返済が不利な場合
住宅ローン減税の適用を受けている
住宅ローン減税の適用を受けている場合、実質金利が下がります。
この実質金利に応じて、繰上返済を行わないほうがおトクな場合があります。
借入金利より有利な投資先がある
有価証券、不動産投資など、更に資産を増やしたい場合に、借入金利より有利な利回りが期待できるは、検討の余地があります。
有価証券は注意
有価証券の場合、元本保証がなく、値下がりにより実質損失になる場合もあるため、注意が必要です。
S&P500指数が平均利回り4%以上の実績があるからと言って、S&P500指数連動投信などに投資する場合、投資タイミングにより元本割れ、利回り低下の可能性もあります。
米国債などは利回りが現状は住宅ローン金利よりも高くなっています。元本・利回りが確保されるとは言え、これは米ドルでのことなので、円に変えると為替変動により元本・利回りが変動します。
元本保証で、利回りが借入金利を上回る投資は、一般投資家向けではほぼありません。
元本保証、利回り補償がなくても大きな利益を取るリスクを取る場合は、検討の余地があります。
不動産投資
不動産投資の場合、有望な投資先があれば有利になります。
更なる借り入れも発生することが多いので、繰上返済の意味がありません。
バランスシート上では、早く総資産・負債(借り入れ)も増加します。
将来の金利上昇を見込む
現在は物価高などにより金利が上昇すると言われています。
固定金利で借り入れしている場合ば、将来の金利上昇により実質的な借り入れ金利が下がります。
このため、将来金利が上がると見込んでおり、固定金利で借り入れしている場合は有利かもしれません。
繰上返済が有利な場合
繰上返済が不利な場合以外は全てです。
例えば、金利2%で借り入れている場合、100万円返済すれば、年2万円の費用がなくなります(実質収入になり、手元現金が増えます)。
これが借入期間中ずっと続きます(例:残存期間10年なら20万円)ので、更に費用負担が少なくなります。
費用が減った分(手元現金)を更に繰上返済することで、実質再投資に繋がります。
返済については、負担する利子が減った分は、無税で利回りがつくことになります(不動産投資ローンの場合は、費用が減る分、所得税などがかかることがあります)。
おわりに
てすは繰り上げ返済は実質的な投資と見做しています。
このため、確実性がある繰上返済は有効と考えています。
くれぐれも、過剰な繰上返済は控える(手元現金が無くなってしまう)ことも考えながら。
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