GnuCashにおいて、不動産収支の勘定項目の設定例について要望がありましたので、まとめておきたいと思います。
不動産収支の勘定項目例
貸借対照表
「資産」、「純資産」、「負債」を設定します。
資産の部
資産の部は、固定資産(不動産物件)、流動資産(銀行預金など)を設定します。
複数の物件を所有している方は、固定資産は物件単位で設定します。
減価償却を考慮し、建物と土地、付帯設備で分類します。
以下の例では、減価償却累計額を設定しています。この場合は、建物、付帯設備を取得額で設定し、減価償却累計額で減価を管理していきます。
なお、物件の現在価値のみわかれば良いと言う場合は、減価償却累計額は設定不要です(建物や付帯設備を直接減価させる)。
- 固定資産
- A物件
- 土地
- 建物
- 付帯設備
- 減価償却累累計額(建物)
- 減価償却累累計額(土地)
- B物件
- 土地
- 建物
- 付帯設備
- 減価償却累累計額(建物)
- 減価償却累累計額(土地)
- A物件
流動資産は、現預金がほとんどですので、以下のように設定します。
銀行口座は口座単位で勘定科目設定すると良いでしょう。
- 流動資産
- 現金
- 普通預金(A銀行)
- 普通預金(B銀行)
負債の部
保証金・敷金などの預り金や借り入れがある場合に設定します。
複数の借入金がある場合、それぞれの借入先で分けたほうが良いでしょう。
- 預り金(保証金・敷金)
- 借入金
- A銀行
- B銀行
なお、企業会計では流動負債、固定負債で分類しますが、小規模運営だとそこまで行わなくても良いと思います。
純資産の部
純資産は開始した時の残高とその後の利益で分類します。
- 開始残高
- 利益余剰金
また、異なる通貨があれば、通貨単位で分類する程度で良いでしょう。
損益計算書
損益計算書関連の勘定項目は、「収益」、「費用」になりますが、ほぼ確定申告書の不動産収支の項目に合わせます。
会社経営だと各勘定項目を営業収支、営業外収支で分離して管理しますが、分離する場合は、ほぼ営業利益、営業費用に該当する項目のみ挙げています。
ただ、複数の事業を営んでいる場合、明確に分類したほうが良いと思います。
収益の部
不動産にかかる収入(主に賃料)に該当しますので、以下の項目が中心になります。
- 賃貸料(住宅)
- 賃貸料(住宅以外)
- 礼金・権利金・更新料
- その他
賃貸料を住宅と住宅以外で分離するのは、消費税に関係するためです。
費用の部
不動産にかかる支出は以下の項目が中心となります。
- 租税公課
- 借入金利子
- 保険料
- 修繕費
- 減価償却費
- 賃料
- 管理委託費
- 水道光熱費
- その他
借入金がなければ、借入金利子は不要です。
租税公課は、固都税、登録免許税、不動産所得税、印紙税等を含みます。
その他、必要に応じて、税理士報酬や未回収賃料などの貸倒金などを設定します。
終わりに
GnuCashで不動産賃貸管理に使う勘定項目についてご紹介しました。
月間、年間での収支を集計する場合は、GnuCashで[帳票]-[収益・費用]-[損益計算書(P/L)]で確認することができます。
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