最近、債権投資の話をよく見かけます。
利上げと株価の変動が激しくなっており、比較的安全な債権への誘導をしているのでしょう。
債権は購入時点の利回りで満期償還時の収益額が確定します。例えば、年率1%の10年物債権(単利)を10万円で買ったとすると、10年後は11万円になります(税金は考慮していません)。
(1万円(元本) + 1万円 ✕ 1% ✕ 10年)= 11万円
債権は、金利の変動により、途中取引の価格が変動します。なぜなら、金利が上がると、もらうべき収益がその金利に応じる必要があるからです。つまり、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格が上がります。
例えば、上記の例で、1年後に1.5%(金利が上がる)、0.5%(金利が下がる)になった場合を想定します。
債権自体は1%の利回りで満期償還時の金額(今回は11万円)で固定されていますから、残り9年間での収益が、変動した金利分を得る必要があります。
このため、債券価格は以下のように変動します。満額満期時の価値から現在利回り分で逆算します。
- 1.5%になった場合(利上げ)
11万円(満期償還額)÷ (1 + 1.5% ✕ 残存9年) = 約9.7万円(値下がり)
- 0.5%になった場合(利下げ)
11万円(満期償還額)÷ (1 + 0.5% ✕ 残存9年) = 約10.52万円(値上がり)
1.5%(利上げ)になれば、値下がりのため、売るタイミングはありません。満期償還まで持たなければ損失を出してしまいます。
0.5%(利下げ)になった場合を考えてみます。2年後ではどうでしょう。
11万円(満期償還額)÷ (1 + 0.5% ✕ 残存8年) = 約10.57万円
4年後はどうなるかというと、
11万円(満期償還額)÷ (1 + 0.5% ✕ 残存6年) = 約10.67万円
となります。このとき、既に4年分の利金(利息)4,000円(=10万円 ✕ 1% ✕ 4年)を受け取っていますので、実質資産額は、
10.67万円(債権価値) + 4,000円(4年間の利金) = 約11.07万円
となります。
この時点で債権を売却すると、10年寝かして満期償還時の11万円を得るよりも多くの利益が得られ、6年短縮して回収できています。
債権の売却タイミングはこの時点です。
上記計算には、利金、譲渡益に関する税金は考慮していないため、ここに考慮しておく必要があります。
おわりに
同じ債権の扱いですが、個人向け国債(財務省サイト)は元本保証の国債で、途中売買されるものではなく、価格の変動はありません。定期預金の代わりと考えるのが良いと考えています。
新窓販国債は、売買が可能です。
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